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とはいえ、初めのうちはいつもまったり。
―― 二学年目 ――
[題名未定・2]
テント班、アリス。そもそも、体力値で言えば男子最低ランクの僕が、なぜテントを張る班などにいるのか。それは、僕が回復魔法と魔法薬を専攻していて、一番得意だからだ。
生まれついてのマナに成績が大きく左右される回復魔法の分野の前では、どんな努力も沈黙するしかない。回復魔法が得意ということは裏返せば、闇属性系統は基本的に全部苦手ということでもあるので、特別優れているということではないが。
一番回復ができる人が、死線に立つなどありえない。
僕は、いついかなる時にどんな怪我人が出ても、必ず治す。そのためには、こうして……。
こうして、ぼーっと座っているからといってさぼっているわけではないのだ。
視線の先では、フレードリクが手際よくテントを設立していっている。彼は空が飛べないので、モニカとフランクが上の方を整えているようだ。
テントとして形を成したところで、暑さにばてているライラを中に寝かす。
ちなみに、回復魔法は、便利魔法に見せかけて、被術者の体力を奪う。ばてている程度の患者には、回復と疲労の釣り合いが取れない。しかも、この、呪術で組み上げられた場は、どうも光系統のマナがうまく作動しない気がするのだが、いいのだろうか。まあ、誰かに言われるがまま、回復魔法を唱え出す未来の自分が見えなくもない。そう考えると、どちらかといえば光属性寄りの風属性で、これだけ精巧な防御壁を築いたリラはすごい。
「はい、完成です。荷物を中に入れましょう」
フレードリクは、実習の度にテントを立てていると言っても過言ではないくらい、テントを立ててきている。慣れたもので、かなり短時間で完成した。
僕は手首に巻かれたテレパシー糸に魔力を流す。その先にはハルがいるはず。
≪はい、こちらハル。聞こえてる。なんかあった?≫
≪――……こちらテント班。聞こえてる。……テントが完成した……から≫
≪オッケー、了解した。こっちも特に変化なし。イツキはそっちだな。探索班にも連絡頼んだ≫
≪――……了解≫
魔力の流れを切る。テレパシーは、普通にやると案外に精度が低く、使える人もかなり限られてしまう。その補助をするのが、正式名称・インビジブルコード、只、糸と呼ばれることの多い、これだ。その名のとおり、糸で、見えない。しかし魔力をすごくよく通すので、こうやって使われている。ただし、糸なので、長さ制度があるし、絡まりやすいのが欠点だ。
補助魔法テレパシーより、精度が高く、距離もぐんと伸ばせるものが、呪術にあるらしい。僕は呪術は何も知らないに等しいので知らない。回復魔法の才を見出されて以降、そちら方面しか学んでいない。学んでもマナの不足から唱えられず、意味がなかっただろう。
専門者がちゃんといるので問題ない。僕はテントの中に荷物を運び込もうとしているイツキを呼び止め、探索班への連絡を頼んだ。彼は快諾し、呪術を構成し始める。発信先は、サクラだ。空気が重くなる。昼間だというのに闇属性が濃い。
早く霧散すればいいと、光属性寄りの僕は願う。
実習はまだ続く。